中村の考え 転載
自分の表現は、それが表現された時点で自分のものではなくなる。
僕がピアノの鍵盤に指を下ろした瞬間に、その音は僕のものではなくなる。
それは、誰かに見られ、感じられ、考えさせている。
僕はそれを音霊であると思っている。
音それ自体が持つ霊(たましい)。
自分の発言も、それが発言された時点で自分のものではなくなる。
言霊とはそういう意味だ。
まず見ること。
ちゃんと見ること。
そして、感じること。
ちゃんと感じること。
そして考えること。
ちゃんと考えること。
今のこの世界の中において、自分が何を表現し、何を発言するべきか、それらをしっかりともう一度見極めて、この混沌の中へと発信する。
我々アーティストは、時代に先駆けた感性を持っていなければならない。
人々が見れないものを見て、感じられないことを感じ、考えられないレベルまで思惟を広げることができるのだ。それこそがアーティストの為すべきこと。
そして、到達した「何か」を混沌の世界へ発信する。それが我々の仕事だ、と僕は思っている。